意地悪や嫌がらせの心理

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より健康的な生活が送れることを目的とし、進化心理学と社会心理学を基に意地悪が生まれる理由の理解を試みます。

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つ目は日本特有の文化に起因すると考えます。
古い古い昔から、直接的に思いが伝わるような行為を日本人は避ける傾向にあり、素振りを見せないのにどれだけ相手の心を汲み取って行動ができるかを試されるという独特なコミュニケーション様式を有しています。言葉を交わさず素振りも見せず分かり合えることは何ともすごいことですが、 控えめなコミュニケーションでも相手を理解する、自分を理解してもらうという美を目指す習慣は "表現を押し込める"という癖をつけてしまい、自分の思うことを上手に表現する筋肉をつける機会を極端に少なくします。 こんな訳で自己主張をする者(特に女性と新参者)は生意気とか自己中心的だと取られたり、更に、上下関係が発生するところでは言いたいことも言えないことは"普通"とされたりするため、口を開くことへの圧力があるのです。
このような環境は自己の思考表現を絶望的に阻む他、内にあるものを出せないことでストレスレベルを高くします。ストレスはイライラの感情を産み心をガサガサさせるため、コミュニケーションが円滑でない環境では必ずといっていいほど意地悪や嫌がらせが発生します。
何かちょっとした意地悪っぽいことを言われたとき、ユーモアを使ってさらっとその場をやり過ごしてしまえばさほどしこりにならないような場合でも、表現力・コミュニケーション判断力の欠如から陰湿化し、意地悪をする方はおもしろがって同じことを続け、される側は悶々とし意地悪を仕返す気持ちすら育ててしまうのです。

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つ目は進化心理学的に考えられる、競争心からの排他欲です。
人間の生存欲は競争心につながり、競争心が行動に移されると攻撃性が表れるときがあります。意地悪な行為や嫌がらせは人を意図的に傷付けようとする攻撃的行為(aggressive behavior)です。
原始的風景を例えにします。安定した食糧が得られずに誰かが犠牲とならねばならない状況では、身内は死守しても身内以外とは競争して生き残ろうと戦います。この、身内はOK・他人はNGのような行動を血縁選択(kin selection)と言います。 敵と認識するものには面と向かって勝負する方法もありますが、自分がやられてしまうかもしれないという懸念があれば相手を欺こうとしたり、精一杯威嚇して相手を去らせようとする方法もあります。完全に歯が立たないと判断する場合では逆に攻撃されることのないように低姿勢を保ったり、協定を結んだりします。

現代では食糧危機のような状況を私たちは体験しませんが、生存欲・競争心・攻撃性は備え付けています。豊かな食糧と倫理的交際が確立された社会で尚も意地悪や嫌がらせに固執する人は、その人本人の心が安定していないことを表しています。
仕事で先を取られたからとか、失礼なことをされたなどを理由に意地悪を始めるのは、思うこといかない不満を他人にぶつけようとするものです。自分の味わう嫌な気持ちを相手にもさせることで、本人は自覚していないことも多いですが、自分が実際いる一段下から上にあがる気持ちを感じようとします。相手が迷惑がれば勝ちです。一度その「勝ち」を完了しても勝つ気持ちよさが報酬となり(ドーパミンの働き)、生活の中で他に達成するべき目標のない人や慢性的に劣等感の強い人では意地悪な行為を継続していく傾向にあります。
また、意地悪な人は自分がやられる前にやってしまわなければ、という歪曲した考えを持つ人だったりもします。警察沙汰になり得る程の固執した嫌がらせ行為をする人は極度の被害妄想(場合によっては幻覚・幻聴)が症状として顕れる統合失調症(旧:精神分裂症)に病んでいる可能性もあります。〔注:統合失調症患者が皆意地悪・嫌がらせをする人ということではありません。〕

3は陰口の心理
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