悪口・陰口という行為を考える 1/2

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社会にいると、陰口をたたく・影で人の悪口を言うという行為に出遭ってしまうことがあります。この行動における心理を考察してみます。
同じグループ内の誰かの悪口や陰口を言ったり、秘密をばらしたりという行為では、これから挙げる1から7の心理のうちひとつが行動を起こさせている場合もあれば、複数が同時に働いている場合も多くあります。
  • 1 おしゃべり好き
  • おしゃべりが大好き過ぎる人、又は人といるときの沈黙が受け入れられない人が他の共通の話題を見つけられないときに手っ取り早い内容として、「誰かさんの話」を選んでしまうことがあります。あまり物事を深く考えない傾向にあり、自分の行為をさほど悪いものとは認知していません。育った家庭がいつも人の話しをしていたなど幼い頃からの環境が影響している可能性もあります。
  • 2 排他欲
  • 陰口を言う人は、そこにいない陰口の対象人物を排他したいという願望を有していることがあげられます。対象人物のことを「いなければいいのに」と思っていても、会社や居住地などのコミュニティー上、その人物が消えてなくなることは不可能だと認識します。第一希望が叶わず、その人物をグループあるいはコミュニティーにふさわしくない者だと周りに思い込ませる作戦に出ます。そうすることで同じ空間にいてもその人物だけは「よそ者」である環境を仕立て上げ、擬似排他が叶うことになります。陰口だけでは足りないと判断すると、嫌がらせなどの行動にエスカレートしていくこともあります。
  • 3 内緒事の共有による結束感
  • 仲間意識を育てたいという心理から、そこにいない誰かの陰口・悪口・秘密を言ったりすることがあります。秘密をグループ内で暴露することや陰口を言うこと、そしてそれを聞くという行動の際、そこにいる者の間に「内緒」という共通した目標を産み結束感を生じます。言わば共犯者同士の心理です。
    新しいコミュニティーに入って行ったときなどに世話焼きおばちゃんが「○○さんは・・・だから」のような陰口的情報をくれるのは、あなたをグループの一員として馴染ませたいという心理が働いていることになります。もちろん、2.の動機が働いていて、○○さんとあなたを仲良くさせないようにしようとしている場合もあります。このタレコミは"self-fulfilling prophecy"となって、○○さんとあなたの関係を変形し得るものになるので十分気を付けて下さい(思い込みが本当になる仕組み参照)。
  • 4 自尊心の欠損
  • "自尊心"とは、自分は自分でいいのだと思える心のことで、幼児期に親(特に母親)との関係によって築き上げられるとされます(Ainsworth)。自尊心の低さはおこりんぼうやその他人間関係のトラブル、摂食障害を始めとする多くの精神疾患の後ろにくっついて回るものですが、深層にある自己評価の低さ・自信の低さとセットになっています。
    他人のことを自分よりも低いとする認識によって自己評価を上げようとする時に悪口・陰口の行動に走りやすくなります。つまり、誰かの悪口を他人に言うことで「自分はそいつより価値がある」と自分自身に言い聞かせたいのです。学歴や収入などの上乗せ的要素は全く関係のない自分の中身への評価なので、どんな役職についていても自尊心が低ければこういった心理と行動が現れる可能性があります。

4は続きの5から7
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