
相手が自分に対して何を期待しているのかが分からないので、自分の発する言葉や表現が場に適しているという自信がなく、何を言っても失敗になりそうで結果黙ってしまいたくなります。
あまりよく知らない人と会話をする時間ができてしまったとしても、びびらない、かつ自然に会話が発展するようになることをゴールとし、ここではインターパーソナルコミュニケーションが苦手な人の傾向と対策を見ていきたいと思います。
- 相手が「地元の方ですか」のような内容から会話をスタートさせる合図を出したとします。
話が苦手な人は、相手が自分のあれこれを詮索しようとしているのかしらとか、地元出身だと答えたら問題があるのかしらとか、地元じゃなかったとしたら排他されるのかしらなど、ありとあらゆる推測を瞬時に行ってしまいがちで、その処理に頭が一杯になり、「あ、地元ではないです」とだけ返すのがやっとということが多くあります。するとそこで会話が続けられるかと話し掛けた相手も「あ、そうですか」と話を控えてしまいます。変な空気になります。
相手は会話のきっかけとして出身地を尋ねただけなので、警察署の尋問とは違います。まずこのことを自覚して安心することが第一歩です。 -
次に、質問されたら答えの後に同じ質問を相手にし返すことを覚えておくと会話はとぎれにくくなります。同じ質問を相手にし返すことは「お話を続けたいですよ」という態度の表示となります。質問することで失礼にならないかという心配はいらないので、これまた安心しましょう。
人は自分がその質問をされたら困るようなことは他人にも聞きません。聞けば藪蛇になるのがわかるからです。ですので、相手が「お子さんいらっしゃるんですか」なんていうことを聞いてきた場合、少しプライベートに突っ込むかなと思っても同じ質問を相手に返しても大丈夫です。このとき、自分は相手のその情報に興味があるかどうかは関係ありません。別にどうでもいいことであっても挨拶感覚で伺ってみましょう。ただし、自己がその話題を避けたい場合は違うことについて質問するなど、相手の思考の焦点を逸らせる試みが必要です。
また、人にだけ聞いておいて、自分が聞かれたら「私のことはいいんです」的なコミュニケーションをするのはマナー違反です。こういったコミュニケーターは敬遠するに値する信頼度の低さを有していると捉えて間違いないでしょう。無理をして会話をしようとする必要はありません。 - これは特に話が苦手という人ではなくても犯してしまうことのある無礼なのですが、相手に起こった出来事や感情を告げられたとき、自分の(知っている)話題にすり替えてしまうということがあります。
例えば、「昨日見た映画の主人公がガンでしんじゃう結末でね、超かわいそうだったわぁ」と相手が発したとき、何かを喋らなきゃと反応し「俺(私)もこの前テレビでガンの特集やってるの見てまじ怖くなったわ」と返してしまいがちです。これだとお互いのことを短く述べただけで、会話が止まってしまう可能性が高くなります。
この場合であれば、「誰が出てる映画?」や「実話なの?」や「泣いた?」等、相手が語るのを引き出すように会話を導きます。つまり、相手の見たその映画や感じたことを掘り下げることで会話が続くことになります。
先と同じように、自分にとってその話題に興味があるかないかは関係ありませんが、相手が話すという行為自体に興味を持つ姿勢を見せることが大事です。自分の話にすり替えてしまうことは、相手の話したいという意欲をぶち壊しにする他、何でも自分の話に持っていってしまうme-me-me行為と取られます。
料理の披露の場でも同じですが、「これ、作ったよ」と一緒に食したときに「おいしいね」だけでは会話は自然には発展していきません。「おいしいけど、何か特別なものを入れたの?」や「お料理上手になるコツを教えてよ」など付け足すと、相手が料理をしたこととその食事の共有に感謝をしていることが表され、気分良くお話が運びます。 - 自己の頭に存在しないものは、外からの刺激を取り入れて自分のものにしないと、勝手に生まれてくれるものではありません。話が下手な自分でも、この人だと会話が自然にできるなぁという人はいませんか?その人のコミュニケーションスタイルをよく観察してお手本にし、真似ることを試してみましょう。模倣は学習の基本です。
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しかしその際に気を付けなければならないことがあります。人を引き付ける力のある話をする、いわゆる芸人さんのスタイルを手本にするのは注意が必要です。
人を笑わせることを職業とする人たちのコミュニケーションでは、ときに人の失敗を強調することがあったり、そしてそれを他人に告げて皆で笑うことをよしとしたり、きついツッコミを行ったりという特徴があります。これは一般人の間でのコミュニケーションスタイルとして受け入れられるものとは必ずしもありません。更には、上で挙げたme-me-meを顕著に行う芸人さんもいますので、「話して楽しい」の意味を履き違えないようにする必要があります。
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最後に、自己の方言や訛りにコンプレックスを感じて会話を控えてしまうという場合、それを笑う人とのお付き合いはする必要はないことを覚えていて欲しいです。