ネガティブ思考はどこからくるのか

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コップに半分の水を見たとき、「半分はある」という見方をするか、「半分足りない」という見方をするかは人によって違ういます。
同じものを見てもその解釈が異なっていて、認識が違うということになります。
認識は判断に左右してきます。実際に物理的なことなら、1週間を過ぎて今月の小遣いが残り半分だったりするとき、「まだ残りあるから」とおやつにたこ焼きを買うか、それとも「もう半分もない」とたこ焼きを我慢するか、なんていう。
これが人間関係のことなら、パートナーが自分の求めるものを満たしてくれないことに着目してプンプンし関係の終結を選ぶか、それとも自分にとってパートナーとの付き合いの中で得られることに着目して感謝を高め関係を継続するか、なんていうことになります。

足りない・できないなどのことに注目し、悲観的な感情を引き出す思考をネガティブ思考、それとは逆にある・できることに注目して、悲観的な感情を迂回できる思考をポジティブ思考としたときに、この思考の差は一体どこからやってくるのか・・・というのが私たちの疑問となるわけです。

生物学的な説明では、ポジティブ思考にはセロトニンというハッピー物質がうまく脳に溢れることが必要とし、セロトニンの運搬を決める遺伝子の働きが関与するとしています。
セロトニントランスポーター遺伝子とされ、型は主にSS・SL・LLの三つあります。詳しくはセロトニンとはの方をご参照願います。日本のような集団主義文化では、セロトニントランスポーター遺伝子がネガティブ思考より(SSかSL)であるという研究結果が出されています(Chiao & Blizinsky, 2009)。同研究では不安症との関係が浮き彫りにされています。
ただし、ネガティブ思考だからと言い人生真っ暗闇感を誘発するとは限りません。実際、Goldman他の研究考察(2010)で、SS・SLの発現が多い極東アジアにも関わらず鬱の発現が低いことの真相を突き止めたいとしている程です。
私たち日本人からすれば、不安がモチベーションになって明日も頑張って働く気になるということだと思うんですけど・・・とは引き出せるのですが。

もとい。
もちろん、遺伝子がポジティブ・ネガティブの思考を決める全てであるわけはなく、環境によって思考パターンは形成されます。
日本では躾に恥を使うため、「ない」ことに注目させる教育をします。「○○しないように△△しなさい」の型ですね。これ自体が不安をモチベーションにさせていることがよくわかると思います。
最悪のシナリオを考えてそれに備えておけば大丈夫だという姿勢で回っている家庭と、人生何かしらあったらあった時の話という姿勢で回っている家庭、どちらで育っていくのかによって物事の認識パターンが違ったように刷り込まれていくのです。
あるいはネガティブな、人の欠点ばかり指摘して笑って過ごす家庭に育てば自分もそれが笑いの基本だと学習しますので、ネガティブ思考だと自覚することすらなくネガティブを探して歩いているのかもしれません。

幼少から積み上げていく認識に関わるスキーマは、大人になると書き換えがどんどん難しくなっていきますが、辛抱強く思考を調整することでポジティブ思考へ切り替えていくことは可能です。
この周辺の学習は社会的認知をご参照ください。


Revised by author on April 4, 2016

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